
2年前に 俺 後悔してるから。
番号聞けなくて。
ずっと会いたいと思ってた。
だから、一晩一緒に過ごせて、夢みたいな1日だった。
俺 贅沢もの だよ。
* * *
コポコポコポ と、ゆっくり音を立てながら
部屋中に立ちこめるコーヒーの香りが、わたしを安心させた。
お天気のよくない休日の朝。
久しぶりにキッチンに立って、
トーストとスクランブルエッグとサラダだけの
簡単な朝食を用意して。
ひとりきりで、おだやかな食事を済ませた。
今まで、大切だったあの人の背中にぴったりとくっついて、
そのあたたかさに安心しながら、朝をむかえていたから。
自宅でむかえるひとりきりの朝は、やっぱり少しさみしい。
あの人は今起きたころだろうか。
あの部屋でどんな休日を過ごすのだろうか。
そんなどうしようもないことをふと考えて、
いやになって、頭から振りはらったら、
そんな考えも、あっさりとどこかへ消えてしまった。
ベージュのやさしいカヴァーがかけられた、
やわらかいソファーの上で、
お気に入りのマグカップをかかえて。
土曜日とく有のリズムが流れるテレビをつけた。
興味のないオープンしたてのショッピングモールの情報を
ぼんやりと見つめながら、
彼と行くの
と楽しそうに話す友人の横顔を思いだして、少し嫉妬した。
この街の話題の場所を、好きな人とふたりで
訪れることはできないんだろうなあ。
そんな風に思いながらも、
好きな人と交わしたことばの数々や、独特なイントネーションの声や、
するどくやさしいその目や、パーマのゆるくかかった髪の質や、
唇のおそろしい程やわらかな感触や、
口づけの瞬間の体中の刺激や。。。
テレビの雑音を遠くに聞きながら、
好きな人のすべてを全身で思いだして、
今すぐにでも会いたくてしかたなくなってしまった。
* * *
嬉しい冗談をたくさん言って。
わたしを虜にしていく彼と、
2年越しの小さな想いを重ね合えたこと。
わたしにとってもこの上ない 贅沢 だよ。